サーキュラーエコノミーとは何か〜サーキュラー・エコノミー デジタル時代の成長戦略概要〜

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サーキュラーエコノミーがどういうものなのか・ビジネスモデルとしてどういうものがあるのかをまとめている本を紹介します。アクセンチュアが書いた本でコンサルティング会社が書いただけに、読みやすく、この本を元に会社で議論するのにちょうどよいフレームワークとして書かれているので環境によい何かを始めたい会社の方にはオススメです。

サーキュラーエコノミーとは何か

資源が有限であること、温暖化が進んでいることが明確になってきている中で、世界的に人口の増加と生活水準が向上してきていることから、いままでの「取って、作って、捨てる」の一方向の経済モデルでは成り立たなくなることは間違いない状況です。

そこから解決するためには、資源の利用量を減らすといったそのモデルの改善だけでは足りず、遥かに高い資源の生産性を実現する新たなモデルが必要であり、それがサーキュラーエコノミーだと言われています。

具体的には、使い捨てではなく、希少資源の利用を伴わず、廃棄物も出さない経済のモデルで、いわゆる循環をさせることによって高い資源生産性を目指します。それを実現するための方法としてレデュース、リユース、リサイクルのいわゆる3Rや、いま流行りのシェアリングエコノミーなどが含まれています。

既存のビジネスの4種の無駄

いままでの大量生産・消費時代には大量の無駄があります。例えば、H&Mが取り組んでいる洋服のリサイクルの記事でも取り上げたとおり、繊維一つとっても、

毎年5,500万トンものポリエステルやコットンが作られている中で、5,000万トンは捨てられている

といった現状があります。

そういった無駄には4種類あり、

  • 資源の無駄
  • 製品のライフサイクル価値の無駄
  • キャパシティの無駄
  • 潜在価値の無駄

があります。

資源の無駄

資源の無駄としては、継続的に利用されず消費されるだけのもののことです。先程のポリエステルやコットンの例がこれにあたります。解決させるための方法として、再生可能エネルギーや素材を利用するといったことがあります。

製品ライフサイクル価値の無駄

人為的に使用期間が短縮される、あるいは他者のニーズがあるのに関わらず廃棄される製品価値の無駄です。解決させるための方法としては、再販や再生産、修繕、修理、長寿命化などがあります。

キャパシティの無駄

未使用の状態で不必要に放置された製品性能のこと。最近流行りのシェアリングエコノミーはこの無駄を解決するビジネスですね。

潜在価値の無駄

廃棄製品から回収・再利用されない部品、原材料、エネルギーのこと。リサイクルやアップサイクル、部品再利用などが解決策としてあげられます。

どの企業でも同様の無駄があるので、この切り口で一度考えてみるのもよいのではないでしょうか

サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル

サーキュラーエコノミーで成功している会社のビジネスモデルを分類すると以下の5つになると言っています。

  • サーキュラー型のサプライチェーン
  • 回収とリサイクル
  • 製品寿命の延長
  • シェアリングプラットフォーム
  • サービスとしての製品

それぞれ具体的にはどういうものなのでしょうか。

サーキュラー型のサプライチェーン

繰り返し利用できるような原材料を導入するモデル。本の中では亜麻、麻などの繊維から再生可能で環境に配慮した素材を作る会社、紙コップをリサイクルしやすい作りにしている会社、原料を再利用しやすいよう造船の原材料の詳細一覧を作っている会社、キノコから製品パッケージを作る会社など様々な事例が載っています

回収とリサイクル

タイトルどおりですが、回収とリサイクルをしているモデルで、業種を超えてナイロン製の漁網をカーペットにリサイクルする会社や、廃棄物からエネルギーを作る会社など紹介されています。回収をすることが大切なので、その物流がとても大切になってくる領域だと感じます。

製品寿命の延長

製品をすぐ廃棄するのではなく、再販したり、そもそもの製品の寿命を長くするモデル。製品をアップグレードして使うのも製品寿命の延長につながるので、そのような使い方も想定した設計にする必要があります。

シェアリングプラットフォーム

製品が利用されずにいる状態を無くすために、シェアをしていくモデルです。いま技術の発達により、利用者同士をつなぐことが容易になってきていることがこのモデルが急激に発展していった背景にあります。

サービスとしての製品

メーカーが製品を提供するのではなく、サービスを提供するというモデル。製品の責任は全てメーカーが持ち、利用する側はそのサービスを利用することに対してお金を払う形態になります。例えば照明のフィリップスは「サービスとしての照明」というモデルで電球を提供するのではなく、明るさを提供した量によって課金するというもの。

具体的な事例や始め方など本に大量に載っているので見てみてください。ここでもこれから色々な事例を紹介していこうと思います。

参考資料

ピーター・レイシー, ヤコブ・ルトクヴィスト , 牧岡 宏 (翻訳)サーキュラー・エコノミー デジタル時代の成長戦略 日本経済新聞出版社 2016

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