メタンガスは温室効果ガスの中で二酸化炭素に続いて二番目に多いガスなのですが(温室効果ガスの種類とその割合参照)その発生源は何なのでしょうか。牛のゲップが原因と言われていますが実際はどうなのでしょう。
サマリ
世界でのメタンの発生源を見てみると、大枠で見るとエネルギー分野での発生が多いのですが、項目別に見ると家畜(主に牛)の消化管内発酵(ゲップ)がメタンの発生源の24%を占めて一番です。その他、石油や天然ガスからの漏出、固形廃棄物の処理と続きます。
世界の分野別メタン発生源
UNFCC(United Nations Framework convention on climate Change)に各国が同じフォーマットで温室効果ガスの排出量を提出していて、そのデータが見ることができます。
一番詳細なデータが載っているページとしてはここです。
Production
Greenhouse Gas Inventory Data – Detailed data by Party
種類ごとに発生源がみることができます。ただ、全ての国が提出しているではなく、AnnexⅠ(附属書I国)という対象の国だけになります。対象国は以下のリンクでわかります。
この中に中国やインドは入っていないのは注意が必要です。
世界のメタン発生源を分野別に見るとエネルギー分野が最も多く、続いて農業、廃棄物となります。それぞれの分野ではどれが多いのでしょうか。
エネルギー分野でのメタン発生源
エネルギー分野の内訳で多いのは石油と天然ガスから漏れているものになります。それぞれの工程ごとに排出量が提出されているのですが、石油に関しては、製造時が最も多く(90%以上)、天然ガスに関しては、製造時(39%)、転送・貯蓄時(37%)となっています。
農業分野でのメタン発生源
農業分野での発生の内訳として多いのは家畜の消化管内発酵(ゲップとして排出)家畜排せつ物の管理になります。消化管内発酵とはどんなものかというと、以下の通りです。
世界全体での家畜ごとの内訳はこの記事を書く時点では見つけられていないのですが、上記リンクの2017年提出版(和文)から日本の内訳を見ると牛が95%以上なので、消化管内発酵の発生源は主に牛と考えてよさそうです。
廃棄物分野でのメタン発生源
廃棄物分野でのメタン発生は主に固形廃棄物の処理時点で発生します。廃棄物が埋め立てられた際に、有機成分が生物分解される際にメタンが発生します。
世界のメタン発生源
分野別の情報を見るとエネルギーが多かったですが、各分野での内訳で見てみると、結果としては下図のようになります。
一番多いのは消化管内発酵(ゲップ)で24%になっています。温暖化の要因に牛が関わっているというのは知らない人も多いのではないでしょうか。その後には石油や天然ガス、固形廃棄物処理が続きます。
参考文献
Greenhouse Gas Inventory Data – Detailed data by Party