失敗しないペーパレスの進め方

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環境に対しての負荷を減らすことを考えた時に取り組み易いものとしてペーパーレス化があります。もちろん環境に良いだけではなく、コスト削減効果もあるので是非取り組みたいものですが、あまり上手くいかなかったという話しもよく聞きます。結局高い会議システムとかだけ入れて終わったなどにならないために、どのような進め方・体制で具体的にどういうことをしていくのでしょうか。

ペーパーレス化の進め方

ペーパーレス化といっても本格的にやるとなると、やるべきことはコスト削減や業務改革のプロジェクトになってくるため、しっかり計画を練ってからやるのが望ましいです。流れとしては以下のようなステップが必要になります。

  1. 現状を知る
  2. 減らす対象・順番を決める
  3. 実行
  4. 継続的に結果をトレースする

紙の利用量の現状を知る

コスト削減をしようという時に、まずやるべきは今どれくらいコストがかかっているのかを知ることというのはイメージつくと思います。それと全く同じで紙を減らすのであれば実際紙をつかっている量を把握する必要があります。DMやチラシ、冊子をたくさん作るような会社であればそこが大半だと思うので、どれくらいの発注量なのか、業務の利用が多いのであればコピー用紙をどれくらい購入しているのかといった量をまず調べることが大切です。

減らす対象・順番を決める

紙に関わるものをすべて検討して減らすとなると結局どれもできずになってしまう可能性があります。なので、①重要なもの(インパクトの大きいもの)からやる。②やりやすいものからやるという2つの軸でやってみるのが定石です。

①の重要なものという観点ではチラシを10,000枚など年に何度もやっているならそこからやってもいいし、会議資料の利用が多ければそこから手を付けてもいいです。

②のやりやすいものという点では、業務を変える必要の有無で難易度が全く変わります。例えば、プリンターの設定を変えて必ず両面印刷で出すようにするという設定さえしてしまえば、それ以降別に紙の節約を考える必要もなくいつもどうりに業務をするだけなので、難易度は低くなります。

一方で会議では紙の印刷を無くすということを実現するには、みんなタブレットかパソコンを持たなくてはいけないなど、業務自体の設計が必要になり、難易度があがります。にもかかわらず現状の業務の分析もせずにシステムだけ入れたりするので失敗するというのがよくあるケースです。

実行とその後の結果のトレース

対象を決めると実際に削減をしていきます。こちらはこの後詳細に書いていきます。一回やって終わりではなく、結果どれくらい削減できたのかを把握できるようにしておかないと、継続的な改善ができないのでそのような仕組みも考えておく必要があります。

ペーパーレス化の具体的な方策

ペーパーレス化を進めていくにあたって、どんな方法があるのかを書いていきます。まず一覧としては以下のようになります。

ペーパーレス化方策

ペーパーレス化方策一覧

減らせる割合のイメージとしては、その方策を実現することで紙の利用量が50%以上減らせるものが高、20%程度は減らせそうなのが中、それ以下は小としています。量のインパクトではありません。

薄い紙に変える

一つ目は紙を薄い紙に変えるというものです。こちらは紙の量が減るという意味のペーパーレスでは無いのですが、環境へのインパクトとしては意味があるので載せています。

紙の厚さは90㎏、110kg、135㎏といった数値が出て来るのを見たことがあるかもしれません。この重さは規定の大きさの紙1,000枚分の重さのことを表していて、重さが大きいほど厚い紙となります。

重いということは、パルプがたくさん必要=木がたくさん必要ということなので、軽い紙の方が環境に良いということになります。135㎏の紙を使っていたのを90㎏に変えるだけで33%二酸化炭素排出量を減らすことができます。

ブランドのイメージとして明確に厚い紙が必要ということもあるのですが、そこまで考えていない場合は、薄い紙にして環境のために薄い紙にしていますというメッセージを小さく載せた方が良いです。社内利用のコピー用紙などはできる限り薄い紙にする方が環境に良いです。

1点注意としては、事前に社内のプリンターで薄い紙でも問題なく出力できるかだけは確認しておく必要があります。

予備を減らす

例えばチラシが1,000枚必要だった時に、何かあるかわからないから念のため予備で欲しいから1,100枚発注しておこうということがあると思います。

ほぼ全ての印刷会社が必要な枚数よりも予備として多めに印刷しています。例えば1,000枚注文が入れば1,100枚は印刷しているはずです。でも納品するのは1,000枚+10枚程度の納品見本で残りは印刷会社に残しておくというのが多いケースです。そこでさらに発注者側がバッファを載せて1,100枚注文したら印刷会社は1,200枚印刷するといった形になり、結果200枚無駄になるということがよくあります。

そういったことを防ぐためにも、発注している印刷会社の人に余計にする必要はないけど予備はできる範囲で多めにくださいとだけ伝えておけば対応してもらえることも多いと思うため、伝えてみてください。

本当に必要な数だけ印刷する

前の予備を減らすというのと似ている話しですが、本当に必要な数だけ印刷しましょう。以前にチラシの印刷による二酸化炭素排出量はどれくらいかの記事でも書いたのですが、例えばチラシを1,000枚印刷しても、2,000枚印刷しても2,000円程度しか変わらないとなったときに、もったいないから2,000枚にしようということがとてもよくあります。値段は大差なくても、環境への負荷は単純に2倍です。なので、こういった事実をちゃんと伝えて、必要な数だけ印刷するという必要があります。

会議資料を印刷する際に参加者がひょっとしたら増えるかもしれなから5部多めに印刷しておこう、ではなく、参加者数は事前確認をして必要な数だけ印刷、増えた人は資料無しにするなどでも減らすことができます。

両面印刷に変える

特に会議資料で多い話しだと思うのですが、必ず両面印刷にすれば利用する紙の量は半分になります。

プリンタの設定で両面印刷ができますし、デフォルト設定できるものも多くあります。

用紙の両面に印刷する (両面印刷) – Publisher

システム部やパソコンの担当の方、利用する本人が一度設定を両面印刷にするようにすれば以降は気にせず印刷をすればいいので、簡単に紙の利用量を半分にできる方法なので是非やってみてください。

複数ページを1枚にまとめて印刷する

パワーポイントの資料などを印刷する際に1枚に1ページではなく、1枚に少なくとも2ページは印刷するようにしましょう。

こちらも紙の利用量が半分になります。両面印刷と合わせればこれだけで四分の一にすることができます。

プリンターの設定でできるのでやってみてください。検索して1件目に出てきたサイトを参考として載せておきます。

1枚に2スライドを印刷する/PowerPoint(パワーポイント)編

コンサルティング会社のお客様への提案書は100枚以上のパワーポイントが1枚1ページで片面印刷されるのが通常です。1枚に2ページにすると文字が小さくて見えづらくなる、厚さによる貫禄がなくなるというのが主な理由でしょう。

偉い人が読むサマリーだけは1枚1ページにするなどして欲しいですね。

部門・個人ごとに利用量を把握し、管理する

コピー機やプリンターが多く使われてしまう原因の一つに目に見えてお金の支払いなどが無いから無意識につかってしまうというのがあります。例えば印刷の会社にたのめば支払いがあるのですが、コピー機だとカウンター料金という形でまとめて課金されるため、使っている人がどれだけ使ったのかがわからないという問題があります。

なので、使った分はその人、部門に責任を持たせるという意味でも、誰が使ったかを把握できるようにするのも一つの方法です。

Device Log Service : サービス一覧 : 富士ゼロックスダイレクト

例えば富士ゼロックスであれば上記のようなサービスがあります。コストがかかるので、どこまでやるかは検討が必要です。

メモは裏紙にする

コピー機や資料を印刷して不要になった紙がたくさんあると思います。会社でノートを買う、メモ用に新しい紙を使うなどせずに裏紙を活用することで紙の利用量が減らせます。

それを実現するためには裏紙をわかりやすい所に置いておくといった決めが最初に必要ですが、一度決めてしまえば実現するのは簡単です。

不要な人にメールを送らない

メールを読むために印刷する人っていないでしょうか。特にある程度の年齢を超えた人(≒職位の高い人)に多い印象があります。

メールを印刷するなといってもどうしてもする人はいると思うので、それを減らすためにも不要なCC/BCCを大量に送るのを止めるというのがオススメです。

これはペーパーレス以前に業務量を減らすためにも大事です。大量にCC・BCCに入れる人ってそういう癖がある人が多いです。念のためたくさんの人をアドレスに入れて情報共有して、見てますよね?っていうコミュニケーションのとり方自体が間違っているので、そんなメールが来たら送信元の人に自分には送らないでくれと伝えてあげましょう。

会議での紙を減らす

ここからは会議の資料を減らす方法です。減らし方としては、

  • 会議での紙出力を禁止する
  • 禁止はできなくても減らすために、参加者を減らす
  • 資料の枚数を減らす
  • 資料自体の種類を減らす

ということがあります。

紙出力を禁止するには、その代替方法を決める必要があるので、そこが難易度が高い所です。みんなにパソコン・タブレットが必要という話しになる傾向になるので、まずは全面禁止ではなく、減らすことを考えた方が早そうです。

まずは参加者を減らすのが一つ。これも働き方の改革につながるのですが、不要な会議は無くす、不要な人は参加しないということを徹底するのが大切です。

そもそもパワーポイントで資料を作るということ自体が生産性の観点からもよくないというのは最近よく言われています。Amazon、フェイスブック、トヨタ、サントリーなどがパワポ禁止にしています。

そして、会議の時に一緒に出て来るのが議事録です。ワードで議事録を作って参加者全員に送って、全員が見もしないのにプリントアウトして取っておくというのがよく見ます。その習慣自体が無くなってもいいもので、会議中にホワイトボードなどでまとめて、それを写真をとってみんなが見れるオンラインに置いておくなどをするのがいいのではないでしょうか。

DM/チラシ/冊子の数を減らす

DMやチラシや冊子などは売上に直結するものが多いので、聖域として減らすことが難しい領域です。これを止める、減らすなどはデータを元に判断していく必要があります。

ですが、DM・チラシなどの効果をしっかり測っている会社は少ないです。

オンラインに集客するなら、そのDMやチラシ専用のQRコードを作る、リアル店舗に集客するならチラシ持参でポイント付与などそれぞれの効果を把握する工夫をする必要があります。

また、最近は一律同じDMを大量に送るのではなく、お客様ごとにカスタマイズしたDMを送ることで反応率を上げるといったことをする会社も増えてきています。

例えばアパレルのオンラインショップではお客様の購入したものや、前回購入したタイミングによってDMの送る内容、タイミングを変えることで10分の一の発送量で同様の効果を得たという事例も聞きます。

まずはDM/チラシ/冊子などの効果をちゃんと把握することを検討することをお勧めします。

新聞・雑誌を電子版にする

新聞や雑誌などを電子版にすることで紙の量を減らすことができます。

そもそもクライアント企業の情報を検索するなどであれば、インターネットで検索できる方が全然楽です。

日本最大級の会員制ビジネスデータベースサービス

日経テレコン+FACTIVA(ファクティバ)

こういったサービスなどの活用も方法としてはあります。

年賀状を止める・減らす

年賀ハガキは2017年で約30億枚発行しています。すでに文化になっているので止めるということは難しい点はありますが、特に直筆メッセージもなく、大きい会社の部門に送るって誰かに見られているのでしょうか。

送る人の事を思いながらメッセージを書く、それをきっかけにコミュニケーションをとるなどといったことをしないのであれば止めてしまってもいいのではないでしょうか。

FAXを止める

メールがこれだけ浸透しても未だにFAXは無くなりませんよね。なので、単純に止めることは難しいのですが、efaxというサービスがあります。

インターネットファックスの(e Fax)ホームページ

ただ、こちらを利用するとしても業務として画面を見るだけで完結できるような設計をしておかないと結局プリンターで出力するということになってしまうので、事前に検討が必要です。

オンライン契約書を利用する

契約書は紙が多いですが、最近はオンラインでできる契約書も増えてきています。

ホームズ | 契約書作成・電子契約クラウド締結システム「Holmes」|株式会社リグシー

ただ、実際にはこのサイトにも書いてあるとおり、

多くの企業から寄せられる声は、「電子契約を導入したい」ではなく、「紙の契約書を簡単にしたい」ということでした。

ということなので、紙は中々やめられないかもしれません。

請求書・納品書・見積書等を電子化する

請求書を電子保存することも可能です。ただ、事前に申請が必要です。発行する側が電子化しても受け取り側が対応しているとは限らないので、現状中々難しい点もあります。

PDFで請求書を送るのはOK? 電子化された請求書についてまとめました | クラウド会計ソフト freee

見積書に関してはPDFやエクセルというのが一般化してきている印象がありますので、まだ対応されていない会社はそこからでも対応されるとよさそうです。

名刺を止める

名刺も紙なので、それを止めることで紙の量を減らすこともできますが、こちらに関してはsansanさんのように名刺をオンライン管理することはあっても紙の名刺自体を止めるというようになるのは現段階では現実的ではなさそうです。

進めるための体制

いままで書いてきたような内容を対応するにあたって、重要な点は

  • 経営者が宣言すること
  • 削減余地を事前にしっかり分析すること
  • リーダーがしっかり状況を把握すること

です。地味な作業ですし、経営者がこれをやるんだというメッセージを明確に発しない限り、何のためにこれをやっているのかがわからなくなります。特に環境のことを考えてというメッセージに関してはしっかり発信する必要があります。

また、最初にどれくらい削減できるのか、するのかという点を最初に分析しておかないと、なんとなく減ったねで終わってしまいます。

業務の変革に関わることなので、リーダーがしっかり現場に入り、状況を把握するということが必要になってきます。

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