前回紹介したポール・ホーケンさんの新著「Regeneration: Ending the Climate Crisis in One Generation」で書かれていた北方林関連の話の中で自身も紙を扱う会社として気にしておかないといけないな、と思う点がこの本の参考文献にあったのでご紹介します。なお日本語版の本が早速出るようです。↓
参考文献では具体的な企業名を出して書かれていたのですが、その会社のことに関して何か是非を言うことがここでの意図ではないので、詳細が気になる方は参考文献を見ていただければと思います。
紙を使う、すなわち木を使っている会社のサステナビリティの主張としてよくありがちな点に関して反論している内容でした。
森林関連のサステナビリティ主張で検証が必要なこと3点
元の資料では5点書かれていましたが、ここでは特に多く言われていそうな3つを紹介したいと思います。
1本切ったら1本植えたらいいというわけではない。
この本を読んで改めて感じたのは、手がつけられていない森林に手をつけるということはやらない方がいいということです。成長しやすい単一種の木を植えたらそれによって生態系が崩されて、数十年たっても元に戻らない。それによって土壌が乾燥し、山火事が起こり、さらに悪化するなど大きな影響が起こりえます。CO2が少し増えるからといって
国で報告されている森林減少率が正しいわけではない
これは今回参考にした資料のカナダのことだけしかわからないのですが、カナダはカナダでは森林の減少は起きていないと言っていて、その主張に基づいて各企業が森林を利用しているし、実際森林は減少していないのだから、サステイナブルだという主張をしているようです。
でも、こちらは別途また別記事で紹介したいと思うのですが、ドローンを使って森林を調べたところ、国で報告されてる量の50倍の広さで森林伐採が起きていたというレポートがありました。
国が発表している数値を前提に行動している企業を責めるということをしても解決しなくて、これは一個の国の事例ではあるかもしれないですが、他の国でも同様なんだろうなと考えるのが妥当ですし、それくらい不確実な状況であるということを認識した意思決定をする必要性を感じる話でした。
木を切った方が放っておくよりいいわけではない
弱った木を放っておくと炭素やメタンを排出するから、その前に伐採した方がいい、放置するのはNGで、手を入れて切って、木製品として炭素固定していた方がいいという主張はよくある主張だと思います
この参考文献であげられている会社の場合はトイレットペーパーだからそもそも木製品ではないというのは別として、北方林の酸性の土壌によって土壌の中に固定してくれるから、できる限り手を入れない方がいいと書かれています。
今回例のように、よく見る主張が前提となってる情報が違ったり、知らない人だったらなんとなく正しそうに聞こえることが実は違う面もあるということはありえるなと改めて感じます。
参考文献
Paul Hawken 「Regeneration: Ending the Climate Crisis in One Generation」 Penguin Books (2021)
SHELLEY VINYARD 「A Case Study in “Greenflushing”」(2019)
Wildlands League 「Boreal Logging Scars – A Summary for Decision Makers」(2019)