コンシャス・キャピタリズムでストレスのない会社・環境対応で利益を出す会社に

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自分の会社で環境問題に対応していくという方向性を取ることを決める際後押しになったコンシャス・キャピタリズムという考え方があるので紹介します。

恐怖やストレスの無いマネジメントで利益が出せるのか?環境の問題を取り扱って利益を出すことができるのか?といった所について一つの答えとなるような本です。

コンシャス・キャピタリズムに惹かれた理由

自分が目指している会社の方針として、ストレスの無い会社にすることと、環境問題に対応する会社にすることということがあります。関係なさそうな2つが実は関係していて、それが自分の中ですっきり腹落ちしたのがこのコンシャス・キャピタリズムという考えかたでした。

このブログを始めたのは、日常生活や会社経営のストレスがなくなってきたときに、もっと世の中の問題に目を向けないといけないという気持ちが出てきて、全くよく理解できていない環境問題を調べてみようとしたのがきっかけです。

ストレス無く生活できるようになったのは、元々人には色々な価値観があって、それがあるから自分には何かが不足しているという感覚を覚え、それが欲望に繋がり、満たされればさらに足りないという感覚になりという繰り返しになる、それをやめるには大本の価値観をいらないものは手放していくしかないという考え方を聞いてとても共感して、実現していったからでした。

会社のトップがその状態になると、例えば社員から何か話が上がってきたときに評価・ジャッジしてストレスを与えるということがなくなっていくから、会社としてもよい状態にできるようになっていくというのを実感しています。

でもその過程では実際に自分もそう思ったし、こういった話を人にするとよく言われることなのですが、「そんなある種悟った人のような考え方をしていると成長のスピードが下がり、売上・利益が下がってしまうだろう」ということ。それが怖いので今までの価値観を手放すことが難しいのですが、実際やってみると実はやることは結局ほぼ同じで意識が変わるだけで、ストレスも減る分本来の力が発揮できてより会社の業績も良くなってきたという実感があります。

その実感もあるので、絶対こういうスタイルの経営の方が社員を幸せにできるから会社を大きくしていきたいと考えたものの、それでも今は小さい会社だから実現できることなのではという懸念も残っていました。

その時に読んだこの本が、ホールフーズという巨大な企業で、よりシステム的に上で書いたような考え方を実現していて、そして環境問題への対応をちゃんと事業の中に組み込むような経営をしているというものでした。是非こういう経営がしたいと思える本でした。

コンシャス・キャピタリズムの基本的な考え方

コンシャス・キャピタリズムのベースにある考えは、

  • 恐怖やストレスでの管理ではなく、愛と思いやりで対応する
  • 利益を最大の目標にしない
  • 企業の存在する目的を元に全てのカウンターパートに富と幸福を提供する
  • 正しい理由のために行われた正しい行動は、いつかは必ず優れた結果につながる

というもの。

人で言えば自分自身の幸福、企業でいえば利益は直接追い求めるものではなくて、目的を追い求めた結果として得られるものであるという発想が元になっているのがとても共感できるところです。

従業員がストレスと恐怖の元で働くのではなく、顧客の幸福を常に考えて、サプライヤーも身内同様に扱い、地元のコミュニティにも貢献し、投資家にも応え、環境もカーボンニュートラルだけではなく、生態系を育てて、持続的な生命力を取り戻すことを目指す、結果として事業を継続していくための大きな利益を出していく、そんな会社になることです。

コンシャス・キャピタリズムでの具体的な取り組み

上に書いたようなことはもちろん理想としてはわかるけど難しいよねと感じる部分も多いとは思います。そのため顧客・従業員・仕入先・投資家・コミュニティ・環境とどんな関係をコンシャスカンパニーが築いてきているのかがホールフーズの事例を中心にかかれています。

特にどのように意識の高い人の雇用を確保し、やめないようにしていくのかといった所はとても参考になる部分でした。

ひとつ背景にとても同意できた例を紹介すると、ホールフーズでは役員の報酬を全社員の平均の19倍を超えないという上限を決めているという話があります(ちなみにホールフーズと同程度の上場企業では400倍から500倍になる所もあるそうです)。

理由としては公平性の観点と、幹部には権力や個人の豊かさよりも、会社の目的や会社で働く人に心を砕いてほしいからという2つの思いがあるとともに、3点目として情緒的・精神的に安定した人を引きつけることができるということがあります。もう十分だという感覚を持っている、最初に書いた表現でいえばお金が必要であるという価値観のループから抜け出している人が経営幹部としては望ましいとしている点がとても同意できたところでした。

環境への取組み方

環境に対してのアプローチの仕方としては、

企業は自社が環境に及ぼす影響について全責任を負い、それを緩和するために画期的な方法を考案しなければならない。そのためには、まずは環境を一つの重要なステークホルダーとみなすことにしよう。

という考えで、そのうえで、

最初のステップは、自社が環境に及ぼす影響をすべて意識し、行動に責任を持つことである。自分たちの行動のあらゆる結果について意識を高めると、そのマイナス面を無視し、ほかの価値をつくり出す過程で必然的に生まれる副作用だとして正当化できなくなる。

という方針になっています。

以前にDon’t even think about it なぜ気候問題は難しいのかがわかる本で書いたのですが、気候変動の問題でシロクマが氷がなくなって困っている写真を出して問題提起している人がいるのですが、それってほぼ効果無いと思っています。そのことを的確に表している表現が本書にあり共感したので載せておきます。

不安こそが最も効果的な動機づけだと考え、現状維持に甘んじないよう常に人々を恐怖に陥れておかなければならないと信じている人々も多い。しかし、恐怖は創造性を妨害し、イノベーションや問題解決を阻む。恐怖に振り回されていると、人々はいずれ気持ちが萎縮し、周りを無視するようになる。こうした現象はすでに多くの環境問題に起きている。

環境についても、会社をストレスの無い会社にするという点についても、恐怖やストレスで管理していくということをやめる、そのためには古い価値観を手放して、自分たちがこれをしたら満足なんだという目的を共有し、それを目指していくということがコンシャス・キャピタリズムのコアで、それを弊社も目指していこうと思っています。

参考資料

ジョン・マッキー,ラジェンドラ・シソーディア 世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー 翔泳社 (2014/4/18)

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