SDGsプロジェクトを失敗させる原因とその対策

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SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))に取り組もうとしている会社も増えてきているので、企業のSDGsプロジェクトが失敗する原因とその対策をあげてみます。

SDGsとは

SDGs(持続可能な開発目標)とは、国際社会共通の“2030年までに達成すべき17の目標”で「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに
」といった「17の目標」とそれぞれの目標に対しての「169のターゲット(具体目標)」からなっています。その実現に向けて企業も対応していかないといけないという流れが増えてきています。

SDGsの参考の本を一つ上げておきます。

この本ではSDGsについてわかりやすく説明しながら、実際にどう経営に活かしていくのかなど、タイトル通り教科書となれる本でした。この記事で言おうとしている主張と同様のことが書かれていました。

SDGsの対応パターン2種類

企業がSDGsに取り組み際に大きく分けて2種類のパターンがあると考えています。1つ目がマッピング型で2つ目が新規事業型です。

マッピング型は自社でやっているこの事業は、例えばSDGsの目標の”貧困をなくそう”に繋がっているよね、というように自分の会社の事業をSDGsの目標にマッピングしていくものです。

新規事業型は、うちの会社は貧困をなくすんだということを決めて、その課題解決のために自社で何ができるかを考えていく形のもの。

SDGsによらず同様の作業をやられた方は想像つくかもしれないですが、マッピング型は最後は大抵こじつけになります。一方で新規事業型は本当にその課題を解決させようと思ってやるので、どちらがいいのかは自明です。ただ目的の選び方とやり方を気をつければマッピング型でもいい部分はあると思っているのでその方法を整理してみます。

SDGsに対応する企業の目的

SGDsに対応しようとする企業の目的としては、主に投資家を中心とした外部のイメージ向上、社員や新しく入ろうとしてもらう求職者へのアピール、SDGsの課題解決などがあります。また表立ったものではないのですが、このSDGs対応プロジェクトによる社員の教育・育成という観点もあると思います。

それぞれの目的ごとのマッピング型と新規事業型のマルバツをつけると下図のようになります。

SDGs目的

投資家に説明するであったり、SDGs銘柄として選ばれるということを目的にするのであれば、マッピング型で十分効果があると思っています。しっかりわかりやすい説明をするのと、既存の色々なESG指数などもチェックして、しっかり対応しているというのが数値的に示されるように対応するのが大切だと思っています。

社会に貢献したいという若者の意識を甘くみない方がいい

最近の若者が社会に貢献したいという人が多いから、そういう人にもアピールできるように既存の事業をマッピングしようという考えがあるとしたら、それは効果ないのでやめておいた方がいいです。

以前田村耕太郎さんが書いていた記事で、出典まで辿れなかったので、正確ではないかもしれないですがこのような話がありました。

シンガポールに住んでいる海外の若い人が親がやっている仕事が恥ずかしくて人に言えない、もっと世の中に貢献する仕事をしてて欲しいと、言っていた。その両親は外資金融とコンサルだった。

もちろんこれはただの一つの話でしかないですが、今の若者と話していると将来的には日本でも同じようなことが起こり得ると思っています。超人気職の外銀とコンサルがそういうことを言われかねない中で、こじつけの社会貢献で誰かに響くと思っているなら考え直した方がいいのではないでしょうか。

社員育成のよい機会

一方で社員教育や育成という観点ではマッピング型でもとても効果があります。本格的にやるとしたら会社の全事業内容を整理して、事業部横断で調査をしてまとめあげるというプロジェクトになります。それをしっかりこなせたら、その人はとても成長できるし、社内に繋がりも広がっていきます。

SDGsプロジェクトをうまくすすめるための方法

既存の事業をSDGsに当てはめるマッピング型のプロジェクトをうまくいかせるためには、大前提があります。

それは、

  • 会社のトップが本気でやると決めること
  • CSR担当者ではなく事業のエース級のメンバー(将来の幹部候補)をアサインすること。

です。

それができればその社員が社会問題に対しての意識が高まり、新規事業型の対応をリードする人材になる可能性を秘めていると思います。間違ってもCSR部など主体で効果がでるプロジェクトではないです。

そしてできれば小さくでもいいので、やりたいメンバーを集って新規事業型でSDGsの解決に向けた事業を始めてみてもらえればと思います。

参考資料

足達 英一郎 (著), 村上 芽 (著), 橋爪 麻紀子 (著)|ビジネスパーソンのためのSDGsの教科書 |日経BP社 (2018/3/23)

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