フロン(HFC)の削減に必須な自然冷媒とは

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温暖化の大きな要因であるHFCとはでも書いたとおり、HFCを削減していくことは温暖化解決に向けて重要なので、現状どのような方向で日本が対応していて、その解決策となる自然冷媒というのがどんなものなのか紹介します。

サマリ

HFCの削減の目標を達成するためには、冷蔵庫やエアコンの冷媒としてHFC(フロンガス)ではない二酸化炭素、アンモニア、炭化水素などの自然冷媒を使う以外道はない。イオンやコカコーラなど冷蔵関連では徐々に進んできているが、エアコンではダイキンの動きを見る限りまだ進む気配はあまりしないので、どこが対応するのか期待して見たい所。

キガリ改正の目標達成には自然冷媒しかない

温暖化の大きな要因であるHFCとはでも書いたとおり、HFCを削減していくことは温暖化解決に向けて重要で、キガリ改正によって日本も2011年からの2年間のHFCの排出量を基準に、2019年には10%からはじまり、段階的に2036年には85%削減する必要があります。

ダイキンの対応方向性では足りない

日本はどう対応しようとしているかというと、例えば日本を代表するエアコンの会社ダイキンが出している方向としては

ダイキンは、これらの評価を踏まえ、ミニスプリットやマルチスプリットなどの空調機には、R32 が適していると判断しました。R32 のこれら空調機の適用は、HFC フェーズダウンスケジュールの達成、また現在進行中の HCFC フェーズアウトスケジュールの達成に大きく貢献します。 その他の機器に最適な冷媒は、鋭意研究を進めています。

モントリオール議定書 HFCに係る改正(キガリ改正)に対するダイキンのポジションより

ということで、R32という冷媒を使うことで対応を進めているということです。もちろん早く動くのが大切なので、今実現化しているものを進めるのが大事なのは確かなんですが、R32という冷媒では2036年の目標は明らかに実現できなそうです。

なぜ実現できないかというと、下図の通りフロンを使うメインの会社のフロン出荷量をCO2換算すると、2015年で4773.4万tになります。右のグラフに冷媒ごとの内訳というのがあるのですが、冷媒ごとにCO2の何倍の温暖化効果があるかという地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が違います。

フロン排出量

キガリ改正を踏まえたHFC規制のあり方についてより

具体的には下表の通りです。

冷媒 GWP
R125 3500
R134a 1430
R143a 4470
R32 675

ダイキンさんがいっているR32が一番GWP的には少ないのですが、仮にこの全部の冷媒がこのR32になったとして、4773.4万トンはその他以外を単純にR32のGWPに変換して計算すると、2256.6万トンになります。削減率的には53%くらいです。

なので、2036年の85%削減には届かないとなります。なので、ダイキンさんがいうようにR32にすればいいですで止まっている場合ではないというのが現状です。

自然冷媒の種類と導入事例

自然冷媒にはどんな種類があるのか

じゃあ他にいい方法がないのかというと、フロンガスを使った冷媒ではない自然冷媒というものがあります。

具体的にはアンモニア、二酸化炭素、炭化水素といったものです。

自然冷媒の導入事例

すでに企業でも自然冷媒の導入が広がっていて、例えばコカ・コーラさん。

世界的飲料メーカーのコカ・コーラカンパニーは、新規導入する冷蔵機器を2020年末までに100%HFCフリーにすることを目指している。自然冷媒であるCO2と炭化水素の採用により目標を達成する計画で、日本法人である日本コカ・コーラはその模範を示している。

アクセレレートジャパン2016年#7より

他にはイオンさんが

現在、新規店舗を中心にCO2冷凍冷蔵システムを積極的に採用しており、導入した店舗数は2015年末で45店舗にまで上るイオングループ

アクセレレートジャパン2016年#3

その他一般の冷蔵庫はすでにほとんどが炭化水素(プロパン)になっています。

エアコンの自然冷媒対応が今後必要

日本で自然冷媒が進まないのはリスクをさける体質からか

冷蔵庫関連で自然冷媒は進んでいるようですが、この下図にもあるようにHFC発生機器

機器別にHFCの発生をみた場合に、空調機器58.1%を占めているのですが、エアコンの自然冷媒化はまだあまりすすんでいない印象です。

ここでもダイキンさんの自然冷媒がエアコンには使えないのかという問に対しての回答を書いておくと

CO2やプロパン、アンモニアといった自然冷媒は地球温暖化への直接の影響は小さいですが、冷媒として使用するには、適当な安定性、効率性、安全性を満たしていなければなりません。アンモニアには毒性、プロパンには燃焼性があり、CO2は冷媒としての効率が低いです。そのため、アンモニアは徹底した安全管理の可能な場所で使用される大型空調機に、またCO2は従来冷媒と同等の性能が発揮できる給湯機の冷媒として使用しています。
CSR・環境への取り組みFAQ | ダイキン工業株式会社

ということです。ただ、海外では2000年の段階でベルリン東駅でアンモニアのエアコンが導入されていたりなど、事例も増えているようです。

微量のアンモニアであれば特に悪影響がないものの、リスクがゼロではないからという理由で日本では進まないというのは大きくありそうですよね。

とはいえまだ海外でも主流というわけではないので、これからの技術革新が期待されています。

いち早く自然冷媒のエアコンをつくる会社がどこなのかというのは注目したいところです。

参考文献

キガリ改正を踏まえたHFC規制のあり方について

アクセレレートジャパン2016年#7

アクセレレートジャパン2016年#3

モントリオール議定書 HFCに係る改正(キガリ改正)に対するダイキンのポジション

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