森林の伐採の温暖化を中心とした環境問題へ影響について当たり前のようで、分かりづらい部分も多いと感じていたので整理します。
森林の役割
光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を排出します。同様に呼吸によって二酸化炭素を排出します。その差分が炭素として木が成長していきます。
木は原子レベルで見ると、炭素と酸素と水素から主になっていて、炭素は大気中から吸収した二酸化炭素が元になっています。この点から、木は二酸化炭素を固定しているという言い方をしています。
どれくらいの二酸化炭素を吸収しているのか
具体的にどれくらいの二酸化炭素を森林が吸収しているのかというと、日本のCO2排出量が2016年で13億トンに対して、5600万トンのCO2を吸収していることになります。(温室効果ガスインベントリ2016年データ)
さらに今まで蓄積してきた量でいうと、128億トンと日本の年間の排出量の10倍近い量を蓄積していることになります。
このデータから森林の木だけではなく、土壌や量は減りますが、枯れた木や葉、枝にも炭素をためておく機能があることがわかります。
伐採することではなくて森林が減少することが問題
木が固定してくれていた二酸化炭素ですが、どのタイミングでなくなるかというと、伐採したらすぐというわけではなく、伐採したものが廃棄され燃焼された時に二酸化炭素になって外に出ていくようになります。なので、木製の製品の状態の時はまだ二酸化炭素が固定化されている状態となります。
成長しきると二酸化炭素の排出量と吸収量がほぼ同じになるという話もあるため、逆によいタイミングで伐採して、新しく植えていくという形で森林を管理していくことが大切になります。
なので、伐採を木を切ることという定義とすると、伐採自体が問題なのではなく、森林が破壊され減少していってしまうことが問題です。
木を伐採し、製品化し、それを廃棄するというライフサイクルを回していった際の森林による二酸化炭素の固定量のイメージを単純なモデルにしてみました。
木による二酸化炭素の固定量が100あって、土壌に10固定されていたとします。伐採して製品化する際のロスが4割あったとして、それを燃焼したとすると、その時点で40減り、全体で70になります。
さらにその製品をすぐ廃棄したとすると、60減り結局土壌に固定されてであろう量しか残らないことになります。
一方で製品をすぐに捨てずに使い続けて、伐採した分は植林をするという形にすると、結果として最初の二酸化炭素の固定量が増えるということも十分考えられます。
この超単純化した例からも考えられる通り、
- 森林は適切に管理するのが大切
- 木材は無駄なく使う
- 木材製品は長く使い続ける
というのが大切です。3つ目は一般ユーザーでも対応できることなので意識しておきたい点です。逆に木の製品を売る会社は長く使い続けてくれればそれだけ環境に良いです、それができる製品を弊社は作っていますというメッセージをもっと出していいのではないですかね。
参考資料
地球温暖化と森をめぐる8つの質問 – 独立行政法人森林総合研究所|