温暖化対策で効果の大きい解決法ベスト10

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地球温暖化の対策として多くの方法がある中で実際に効果が大きいものはどんなものがあるのか、その効果がどれくらいで、やるとしたらどれくらいのコストがかかるのか、温暖化の問題を考えたい人は知りたい人が多いのではないでしょうか。

そんなことを多くの科学者の研究をベースにしてまとめた本があるので、その紹介をします。

温暖化対策の解決法とは

前にも温暖化の大きな要因であるHFCとはで紹介したのですが、この本は温暖化解決のための対策をできる限り網羅して出して、それぞれどんなシナリオであったらどれくらいの効果があり、どの程度のコストがかかるのかを様々な科学者の研究をベースにして調べあげて、効果の大きい順のランキングも載せています。解決法の一覧が以下。

Solutions | Drawdown

日本語になっているわけではないので、その中のベスト10だけですが、紹介していきたいと思います。

温暖化対策解決方法ベスト10

効果に関しては2015年〜2050年までの間で対応できた場合にどれくらいの温暖化の効果があるかを載せています。楽観的なシナリオや、無理のない範囲でありえる程度のシナリオをもとに計算しているので、確実にそのランキングが正しいかというとわからない部分はありますが、一つの指標としてとても参考になります。

上位10件は

順位解決法削減CO2(ギガトン)
1冷媒の管理89.74
2陸上風力発電84.60
3食品廃棄量の削減70.53
4植物性食品中心の食生活66.11
5熱帯雨林の保護・再生61.23
6女性への教育機会59.60
7適切な家族計画59.60
8ソーラーファーム36.90
9林間放牧(Silvopasture)31.19
10ルーフトップ太陽光発電24.60

量の規模感がわからないと思うのですが、世界の温室効果ガス排出量データここに書いたように、2014年で二酸化炭素排出量が330億トン=33ギガトンなので、2050年までの合計と考えたとしても、上記表の量が結構な量であることがわかると思います。

冷媒の管理

温暖化の大きな要因であるHFCとはで書いたように、冷房や業務用冷蔵庫に使われているHFCというガスが温室効果としては二酸化炭素の数百倍以上の気体で、世界中で使用量を85%以上減らしていこうという流れで動いています。新しい製品は温室効果の低いガスが使われていたとしても昔の物が中古で途上国に流通していたり、廃棄する際に多くのガスが発生するのをコントロールできていないと減らすことができないので、そのあたりの管理が重要そうです。

陸上風力発電

風力発電に関してコストもどんどん下がってきていて、風力発電ファームを作るのでも1年以下でできるようになっているなど、投資の回収としても見えてきているので、どんどん広がっていく予定で2050年には発電量の21.65%のシェアになるだろうという予想が十分ありえるシナリオになっているようです。

食品廃棄量の削減

食品廃棄・フードロスと地球温暖化にどんな関係があるのかでも書いた通り、生産される食品の3分の1が廃棄されているのが現状です。食料生産から廃棄まででたくさんの温室効果ガスを排出している中で無駄なものはそもそも生産しなくていいとなれば自ずと排出量も減っていくというのがここでのロジックです。

植物性食品中心の食生活

家畜を一つの国として見たときの温室効果ガスの発生量は中国、アメリカに次ぐ第3位になります。世界のメタンの発生源 牛のゲップが主要因なのかで書いたように、温室効果ガスのメタンの主な発生源の一つに牛のゲップがあるのと、畜産のために森林を伐採するということが多く発生していることから、畜産を要因とする温室効果ガスがとても大きいものになっています。これから発展途上国が発展していく中で、牛肉を食べることが生活の質があがったことと直結したイメージがついてしまったりすると、どんどん消費量が増え、森林も伐採され、牛のゲップも増えていくということになります。もちろん食生活は習慣なので変えるということがとても難しい領域なのですが、世界が植物性食品中心の食生活に変わっていくことが、温暖化の問題の解決としては一つの大きな方法になります。

熱帯雨林の保護・再生

森林を伐採するということは、植物自体が二酸化炭素を吸収してくれるという効果をなくし、それを伐採して例えば牛を飼うとなればそれによる排出される温室効果ガスによるマイナスという両方の影響があるため深刻な問題です。

国際社会として2030年までに3億5,000ヘクタールの森林を再生しようというが流れがある中で、伐採を止め、再生を増やして行ければ温暖化への効果が大きくなります。

女性への教育機会

温暖化を進める一つの要因として人口の急増があります。そしてデータとして、女性が教育を長く受けるほど少なく、健康な子供を産むという事実があります
。教育を受けることで高い賃金や就職の機会が増え、経済の発展にも繋がり、乳児死亡率も下がるので必要以上に子供をつくらなくてもよくなる、農業の生産性もあがり、子供を労働力として増やさなくてよくなるといった流れにもつながっていくので、温暖化とは離れているように見えて、女性への教育機会も重要な解決方法になります。

適切な家族計画

上記の女性への教育機会と同様、人口の急増を減らすための方法としてこちらがあげられています。世界で多くの女性が妊娠するのか、いつするのかを自由に選択したいと思っている中で、避妊する手段を適切に得られない人がたくさんいるのも現状としてあります。こういった問題を解決することが人口の急増を止めること、ひいては温暖化の問題解決に重要になってきます。

ソーラーファーム・ルーフトップ太陽光発電

太陽光発電についても風力同様コストが下がってきており、2050年には発電量の15.8%には達するだろうと想定したモデルになっています。

林間放牧(Silvopasture)

林間放牧は森林の中で家畜を育てる方法で、それによって家畜から発生するメタンをより吸収したり、畜産のための森林伐採をなくすといったこともできます。生態系を守りつつ、家畜を育てる方法として注目されているようです。

参考文献

Paul Hawken|Drawdown: The Most Comprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming|Penguin Books (2017/4/18)

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